江戸の職人経済

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墨 師

「墨」とは、硯(すずり)に対して水を入れて擦る側の黒い長方形の文房具。
書とか画を書く時の必需品です。

高級品から低級品まで、さまざまな「墨」があって、書道の大家から子供の読み書き学習まで、その目的に合わせて用いられました。

原料は、木材を燃やした時に出る煤(すす)です。これを膠(ニカワ)に混ぜて練り、そして決められた大きさの型に入れて固めたものです。
製品の高級・低級は、使用する煤の質が重要だったようで、脂っぽい松を燃やして得られる量の多い煤は低級だったようです。
つまり、松煙をどのくらい使ったか、それが高級と低級を区別するもとで、一番低級品は90%の松煙を使用したといいます。
煤一貫目(3.75キログラム)に対して、ニカワ500匁を混合しますが、この時「香料」も入れたようで、高級品には「麝香(じゃこう)」、「龍脳(りゅうのう)」などの香りを付け、また低級品でも「丁字(ちょうじ)」で香りを付けていたとか。

固める型には「枇杷(びわ)」とか「梨(なし)」の木が使われました。
圧縮する時に使う上下の板には、製造元を現す絵柄が彫刻され、圧縮した時に紋が付くようになっています。
圧縮して整形されたものは、灰槽(はいぶね)に並べて置き、乾燥させてから墨の角を落として出来上がります。

高級品と低級品は、価格だけの問題ではなく、高級な墨は数百年経っても黒さがあせないという品質だったとのこと。
高級の意味がきちんとしていた、江戸時代の本物指向は半端なものではないですね。

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