渋塗職は渋屋との呼ばれ、渋柿の渋から採った渋を木材に塗って、水による木材の腐敗を防ぐ職人です。
新興都市・江戸では新築とか修繕のお屋敷が多く。そのため渋屋も少なくなかったようです。
渋には生渋(きしぶ)と黒渋(くろしぶ)があって、生渋は何も混ぜない透明感のある液体で、木肌にじかに塗布して、木肌を生かした見栄えを残します。
これに対して黒渋は、灰墨を混合した渋であり、木肌に塗ると黒く塗装されます。木肌は見えなくなりますが、その使い方によっては「粋な黒塀」などになって、江戸の風情を演出しました。
渋塗職人は、左図に見える黒い桶に渋を入れて、それを2つ天秤棒で担ぎ現場に出向きます。
そして小桶に分けて稲穂の芯で作った「み心箒」という道具に浸して板塀などに塗ります。
同じようにして、黒渋ではなく、煮沸した灰汁で天井とか門壁などを洗う仕事もおこなったようです