江戸の職人経済

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紙漉職人

日本の家屋は木と紙で出来ている・・とは、欧米などの文化から見て、よく言われます。
石と金属で出来ている欧州の建築様式との比較で言われ、日本文化を下に見た評価のようにも感じますが、木で家を作ることは英国や北欧などでも同じはず。アメリカも移民が始まったころは木造しか作れなかったはずです。

日本の木と紙の建築は、ちょっと見ただけでは判らないような贅沢な技が多く、大工の技や左官の技、そして建具などに見る繊細な技など、よほどの見識がないとそのすばらしさは判らないでしょう。

そして、この建築に使われる紙もまた、非常に繊細な技で作られています。
襖紙とか障子紙などは、日本の建築美を作り出す基本の技。それを作り出すのが紙漉職人です。作り出される紙を和紙といいます。

和紙の製法は、まず原料の楮などを切って釜で蒸します。それからその皮を剥ぎ(細い繊維上に剥ぐ)、水に晒して品質を選り分けます。
糊を水に溶き、たたいて粒がなくなるようにして、そこにさらに粘度を増すために黄蜀葵(とろろあおい)の根からとった粘液(黄蜀葵の根は左図の左上に書いてあるもの)を加えます。

品質を選り分けた繊維と、この糊を混ぜて漉槽(すきぶね)に入れて、枠の付いた漉簾で漉き上げ、クゴハラに挟んでいきます。
水が切れて、生乾きになったところで一枚ずつ剥がして張板に張り天日で干します。

干し上がったら、張板から一枚ずつ剥がして、和紙が出来上がります。
こうして出来た紙は、洋紙のように破れやすくはありません。丈夫で光沢があり、日本の美のひとつに数え上げられるのではないでしょうか。

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