文庫とは、紙とか雑品を納める手箱のこと。
木製とか竹製(竹骨紙製)は大人用で、女の子用にはきれいな紙を貼った手箱が好まれ、糸、針、鋏などを入れたり、紙人形などを入れていました。
この紙を貼った手箱を「張文庫」と呼び、木製や竹製の文庫と区別していたようです。
作り方は、薄い木片を芯として、その裏表に糊で幾重にも貼って、内箱と外箱を、適合するように作ります。
最後に外箱の中央下側に山形に切り込みを入れて、開閉の手がかりとします。
なぜ女の子用として、このように手の込んだ手箱を作ったかと言いますと、それはこの手の箱が縁日などの商品として、非常に売れたからだそうです。
男と女が、まだ別個の存在として教育されていた時代。
女の子の心根を、このような箱に託して、裁縫などの教育をしたのでしょう。