江戸の職人経済

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博多織職

博多織りはもちろん博多の絹織物。
江戸時代、贅沢に明け暮れた将軍「家斉」の時代に、江戸で商売になると判断して博多からやってきた桝屋清兵衡さん、10日間営業活動をしましたがちっとも売れず、思いあぐねて筑前藩に居た知人に相談に行きます。
するとその知人宅で「歌舞伎で団十郎の助六芝居がこれから人気が出るよ」という噂を聞き、その団十郎に博多帯を使ってもらえないかと打診。団十郎も博多帯の見事さに惚れて、早速舞台で使用します。
その粋な独鈷、華皿の柄はすぐに評判となり、それから江戸の街で流行したということです。

江戸の需要が出ると生産には拍車がかかります。そんなわけで博多織りの職人は大忙し。
密度の高い縦糸(細い糸を何千本も使います)に、太い横糸で堅く織り上げた博多帯。締めるとキュッという音が出て、解いて皺が出ても、平らなところでひと擦りすれば、あっという間に皺が消えるという優れもの。

模様のパターンは4種類。仏具の独鈷を転がした時に出る連続模様の独鈷柄、仏前に華を供える時に用いる華皿をモチーフにした連続模様の華皿柄、そして二本の細い線を太い2本の線で挟んだ親子柄と、太い2本の線を細い2本の線で挟んだ孝行柄。

博多織りは帯だけではありませんが、この柄だけは同じようで、そこに職人達は色をつけたり、柄をより細かく描いたりして、その腕を競っております。
江戸で流行った博多帯、それは粋で飾る江戸職人の心情に、とても良くマッチしたのでしょうね。

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