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この識別が出来たのは、戦後の木材市場の出現が大きく影響しています。
これまでの木材商は、木場等の幾つかの問屋及び生産地の製材工場等と、限られた範囲内で仕入れをしていましたので、木材を見る目が限られていました。しかし戦後の木材市場の出現により、始めて全国の生産地のあらゆる品種の木材を何回も繰り返し数多く見て触れる機会に恵まれたのです。
このことが「木肌を見る目」を育てることになり、見馴れてくるとある程度判別できるようになるのです。
柱に関しては関東、関西では檜が高級とされていますが、九州では杉が主流だそうです。高級材で建てられた家を贅沢普請と言いますが、贅沢普請の代名詞として、戦前の台檜普請、ヒバ普請、栂(つが)普請、欅(けやき)普請、尾州檜普請、それに総檜普請と言われています。
又、当時、天井板には秋田杉・春日杉・薩摩杉・霧島杉・屋久杉などの1尺5寸~2尺の銘木クラスのムク板も時々見られました。
現在の日本建築は先程の話のように、早くから不燃化と量産化に加えてデザイン・機能性・設備関係が重視される時代となり、高価な内地材を使用した木造住宅は木材を集めるのが容易ではなく、金が掛かり過ぎ、郊外に居住する一部の金持ちだけが持てる時代になりました。
しかし最近は、内地材の価格が高過ぎて(売れなくなり)下落したのと、リバイバルなのでしょうか、再び内地材が見直しされ始めたとも言われています。
今まで長い間、山も川も森も「自然環境と循環生態系とのバランスがあってこそ、そこに住む生物が共生している」という大切さより、産業的生産性を重んじて木を伐採し、その後には成長の早い針葉樹の杉檜を植林し続けました。
景気が悪くなると間伐、枝打ち、下草刈の費用も出ないとの理由で人口林を放置して、その結果、台風、大雨、山崩れ等の災害を引き起こし、又、近年、放置された人工林からの大量の杉花粉による被害を被っている方々が多いですが、それも、この一連の流れが原因の一つではないかと思います。
終わりに一言・・・・
我が国には今、建築資料として生産性のある人工の杉・檜等の針葉樹は各地に多く点在しています。
自然を保護するために必要とされる広葉樹の分布を見ますと、落葉広葉樹は北の方面東北、中部に多く、広葉常緑樹は関東以西、関西、四国、九州に多く自生しています。
横浜国大の宮脇教授は、ある講演のお話の中で「その土地本来の木がある筈で、土地に合った木を植林しなければ山は荒廃し、森の能力が崩れてしまう」と述べております。
『美しい日本の自然』を残すためには、森林は欠かすことの出来ないものです。ぜひこれら落葉広葉樹林を大切にしたいものです。
そしてそのような自然保護のために必要なものが、木材需要ということにもなるのです。
木材は難しい素材です。しかし使い方によって心地よい人間の空間を作り出します。
どうか木材の価値を、もう一度見直されますようお願いいたします。人間の未来のためにも・・・・