アラスカで行われた米中会談は、トランプ外交での中共制裁をいかに弱めていくかを話し合う場とバイデン政権は考えていたようです。
もちろん反中感情がアメリカ国内に渦巻いていますから、あからさまには言えません。
そこでブリンケン国務長官は最初にマスコミに対する公開の場(フォト・コール)で中共の不公正な貿易を非難したわけです。
ところがこれに怒った楊潔チ政治局員は長々とアメリカ批判を北京語でまくし立ててしまいました。「人権人権というが、アメリカは黒人を殺している」などと言うような非礼な話し方をして。
驚いたブリンケン国務長官は、引き上げようとするテレビカメラを止めて、今度は自分が中共のウイグル人弾圧や香港問題などをまくし立てました。こうして50分以上に渡る公開罵倒合戦をアラスカで行ってしまったわけです。
これでアメリカ側は最初に考えていた「中共関税制裁をいかに弱めていくか」というバイデン政策を話すことも出来ず、今後もそれがやれないという状況になってしまったとか。
本来は穏健派である楊潔チ氏は、このような戦狼外交を行う人ではなかったはずですが、習近平主席の命令(逆らえば失脚)で「強く出ろ」ということ、しかも戦狼外交専門の王毅外相を監視役に付けられては仕方がなかったのでしょう。
会見は共同声明も出せずに終わり、米中関係は再び対決姿勢に戻りました。
昨年10月、トランプ政権に制裁されて困った中共はEUに打開策を求めて、貿易投資協定締結に向けた会議を持ちました。
そして中共側は妥協に妥協を重ねてやっと協定の作成まで行きつき、あとはEU議会の承認待ちまで行っていました。
ところがその後、ウイグル人権問題などが表面化し、EU側は中共・新疆生産建設の幹部4人に対しビザの発給停止とEUないにある資産凍結、そしてEU企業の取引停止を制裁処置として行いました。いずれも新疆という地方行政に対する処置でした。すぐにアメリカとカナダ、そして英国もこれに追従します。
ところがこれに対し中共側は3月22日に、EU議会の5名とオランダの議員、ベルギーの議員、リトアニアの議員、スウェーデンの議員、そしてドイツの学者、そして4角企業に制裁を掛けたのです。内容はビザの発給停止と企業活動の制限などです。
これに対してEU側は猛反発します。EU議会で審議中の対中・貿易投資協定が今後どうなるか、不透明になってしまいました。
審議中止と言う噂もあります。
フランスの訪台を計画しているフランス上院議員に書簡を送り、「中共が対フランス制裁に出る可能性があるから、訪台を中止せよ。訪台を擁護するフランスの政治研究者は発狂したハイエナだ」などと恐喝しています。ドリアン外相はこのことを発表し「これは侮辱や脅しに当たる発言である」と非難しました。
また、加藤官房長官が3月23日に新疆のウイグル人人権問題に対して「懸念」を発表したのに対して中共が」日本軍慰安婦、南京大虐殺を忘れたか」などと日本を批判してきたこともあります。
これらは戦狼外交の失策です。例えばEU側は、あくまでも地方行政に対して制裁を掛けたもので、これに対し中共はEU中枢に向けて報復制裁を掛けております。
しかもさらに3月26日には、中共の外務省がウイグル問題に関連して英国の9人と4団体に対して制裁を課すと発表しています。
アリババに象徴されるように、各民間企業には共産党が入り込みめちゃくちゃにしているようです。もちろん日本企業も例外ではないでしょう。
経済を知らない共産党の組合が出来れば、その企業は利益など生み出さなくなるでしょう。これは経済危機にある中共に更なる危機を生成するものです。
インドを始め、東南アジアの消費生活が活発になり、それでなくても中共の大きな市場はすでに色を失いつつあります。つまり世界からの投資はもはや期待できないと言うことです。
その経済を補填していた臓器売買や移植手術など。これに対して欧米を始め世界中の眼が厳しくなっています。
ウイグルに公安委員長が緊急に行ったことは、今後世界中の要人が身に来るであろうことを意識した中共の隠蔽工作が始まったのではないかとの噂です。
それでもまだ戦狼外交は続くようです。中共の膨大な軍備予算、そして弱いところを恐喝するチンピラもどきの外交(これが戦狼外交の正体のようです)。
全ては中国共産党の「恐怖感」から来る行動のように見えてきました。彼らも「研究所から高度技術を盗み出すことが相手を怒らせること」とか「テロリストなどと言って死刑囚を作り臓器摘出することは悪い事」ということは判っているようですね。
だからこそ今、戦争準備をしているのではないでしょうか。悪事の果ての「恐怖」。それが現在の戦狼外交の背景にある様な気がします。