この戦略に習主席は「国内の大循環を主体とし、国内と国際の2つの循環が互いに促進し合う」として、決して内向きになったわけではないと言うことで「双循環」という言葉を当てはめました。5月頃から使われ始めた造語です。
アメリカとの対立が深刻化する中で「海外に頼らずに中共経済を自立させる戦略」という様に中共では受け止められているようです。
香港経済日報の電子版には「中国経済を内部循環中心へと方向転換することは、国際情勢の突発的な変化に対する重大な戦略転換だ」という記事が8月に掲載されましたが、習政権にとっては内向きではないと言うことで、国内と国際の2つの循環を称してそう循環という言葉を発信しているのでしょう。
米中対立の中心にあるのは「5G問題」だと思います。5Gとは携帯電話(現在ではほとんどスマホ)の通信技術だけではありません。
この電波とインターネット回線を使った決済システム、即ち通貨問題になるのです。
ドルの覇権に対抗しようとする人民元をアメリカは決して許さないでしょう。まだ人民元がドル経済圏の信用で成り立っている間に潰さなければなりません。
この5G戦争は、中共の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)から始まりました。アメリカの技術者を使って中共内部で実験的に行われたデジタル人民元は、人民元紙幣を無くしても困らないほど完成度が上がっています。
しかしそれはアメリカが作った基本技術の上に乗ったもので、その技術はアメリカを騙し盗み取ったものであること・・それがアメリカにが我慢ならないところでしょう。
アメリカは欧州など各国にも中共製品排除を促すなど「中共包囲網」の形成を進めており、米中経済の「デカップリング(切り離し)」も現実味を帯びて来ています。
アメリカ製の技術に乗った製品は中共に輸出しないというワッセナー・アレンジメントに基づいた規制も本格化し、ソフトウエアもその対象になって来たわけです。
そこで華為技術(ファーウェイ)は独自開発した基本ソフト(OS)の展開を強化する方針を表明しました。9月11日のことです。
中共・広東省で開いた開発者向けイベントで、独自OS「鴻蒙(ホンモン)OS(英語名・ハーモニーOS)」の最新版を発表したのです。
まずテレビや車載機器など向けの利用が始まり、2020年12月からはスマホ向けの利用も可能になる予定だそうです。
華為幹部は、「来年、華為のスマホは『鴻蒙』に全面対応する」と述べ、グーグルのOS「アンドロイド」に頼らなくても事業を継続できる環境を構築する考えを出してきました。
おそらくこの鴻蒙OSを搭載したスマホは世界中で売られるでしょう。日本国内でこのスマホが売られるかどうか、NTTやauがこのOSを取り込むかどうかは判りませんが、おそらくソフトバンクは受け入れるように思います。
かなり価格も安く出てくるでしょう。ですから購入者も居ると思います。
しかしこの鴻蒙OS、当然ユーザーの情報を抜くプログラムが仕込まれることは間違いなく、顔写真などが中共の人間管理システム(AI)によって処理されるでしょう。デジタル通貨をこのOSの元で使うと、個人口座の内容まで抜かれるかも知れません。注意が必要ですね。
CPUの小型化はアメリカに工場を作るTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング )が行うでしょう。CPUの小型化は演算処置スピードに直結します。
これが中共で出来なければ、OSをオリジナルにしても競争には負けるはずです。そしてこのCPU作成には日本製のフォトレジスト、フッ化水素が必用になると思います。
景気は政策によって左右します。中共の政策は内需拡大です。都市部が好景気に沸いているようですが、都市以外はどうなのでしょうか。
14億という人民の内、1億が富裕層で残り13億が貧困層のまま、6億人はいまだに1000元(1万5千円程度)の収入しかないとは、李克強首相が述べた言葉です。
内需による好景気維持を長期間続ければ米中戦争に有利になることは確かです。しかし13億人が豊かになるにつれて、共産党への不満が噴出してくるでしょう。
アメリカは中共が掛けているインターネット上のフィルターの破壊を目指しています。中共人民が全てのインターネット上の情報を見られるようにする作戦です。
トランプ政権も今、アメリカの好景気を支えています。安倍首相の辞任で再び影が消えそうな日本。佳境に入った米中戦争の意味も解らず中共にすり寄る経団連。
このままでは我が日本は・・・