反グローバリズムの大統領

反グローバリズムの大統領と言っても、トランプ大統領の事ではありません。
ウルグアイの元大統領「ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダーノ」氏のことです。かれの半生を描いたドキュメンタリー映画が4月に公開されます。

南半球にあるブラジルのさらに南、パラグアイよりも南にあり、アルゼンチンの東に位置する農業国で、産業に乗り遅れた貧しい国家がウルグアイです。
スペインの北部、ビスカヤ・ムヒカから南米「ウルグアイ」に渡った家系の出身で、現在は85歳。

モンテビデオ大学を卒業しても家族は貧困、家畜の世話や花売りなどで家計を助けながら1960年代に入って極左都市ゲリラ組織ツパマロスに加入し、ゲリラ活動に従事します。
労働組合や職人組合の政治経済にも反発し、6発の銃弾を受け、4度の逮捕も経験します。しかも2回脱獄してさらなるゲリラ活動を続けたと言います。

ゲリラ活動に手を焼くウルグアイは軍事政権となり、1972年に逮捕された後13年もの長きにわたり獄中生活を経験しました。軍事政権側の人質として扱われていたそうです。

1995年に元ゲリラ仲間と左派政治団体を結成し、下院議員選挙で初当選を果たします。
左派政権で拡大戦線のタバレ・バスケス大統領のもとで農牧水産相として初入閣し、そして2009年に元大統領である国民党のルイス・アルベルト・ラカジェ公認候補を決選投票で破り大統領になったムヒカ氏でした。

左派政権ですから、世界はウルグアイが極端な反米左派になるのではと懸念しましたが、彼はブラジルのルラ前大統領のような中道左派路線を基調とする政策を取ったのです。
そして市場原理主義を批判し、反新自由主義政策を取ったわけです。まさに反グルーバル政策だったわけですね。

同性結婚を合法化し、また大麻も合法化しました。そして妊娠初期の妊娠中絶を合法化しました。まさに左派の政治家というわけです。

貧しい国で、大統領自ら農業に従事し、トラクターを駆って作物を作ったり、大好きな花の栽培をやったりして、国民に愛された大統領だったようです。大統領公邸には住まずに、首都郊外の質素な住居に暮していたと言います。

明治時代、日本から南米への移民が盛んでした。日本も貧しく、食えなかった家族は時代の政府に誘われるように南米へ移住したようですが、それを「棄民」などという人も居ります。
スペイン統治領だった南米の国々は、日本人を奴隷の様に扱いました。それでも逞しく生き抜いた日本人。今は日系人として戦後日本をあざ笑うかのように活躍しておりますね。
天皇を核とした神道の自然観と、武士道に基づく名誉心、そして南米が失っていない大家族主義が、日本の精神とともに戦後も南米に残したからしょう。

そんな日本人を、このムヒカ大統領は大好きだったようです。
「実は家の近所に10軒か15軒ぐらいの日本人家族がいてね。みんな花を栽培していたんだ。幼い私も育て方を教わり、家計を助けたよ。彼らはすごい働き者でね。昔ながらの日本人だった。農民の思考で狭い土地に多くのものを耕していたんだ」と、ある日本のテレビ局のインタビューで答えています。

また、このインタビューで、「ここには日本の造船会社が来ていてね。日本人技術者が大勢働いていたんだ。その子どもたちはここで成長し、自転車で学校へ通い、ここでサッカーを覚えたんだ。ある日、日本人の子どもが試合に出ていてね。激しいプレーで頭をけがして血を流してた。ついにはコートから出された。その子は泣いていたよ。でも傷が痛いからじゃない。最後までプレーできないことが悔しくて、名誉心で泣いていたんだ」と日本人と言うものがどれくらい激しく、また名誉心が強いかを肯定的に述べております。

フィデル・カストロ議長や革命家のチェ・ゲバラ氏のように、左派の革命家としてウルグアイで活動していたムヒカ氏。しかし長い獄中生活で一種の悟りを開いたようです。
それが「生きること、それは欲に勝つこと」だったようですね。そう、グローバリスト達は人間の欲と不安を煽って利用してきました。グローバリストと言おうと、国際金融資本と言おうと、ディープステートと言おうと、内容は同じです。人間の欲と不安を使って自分達に奉仕させると言うことです。

「革命とは、自分の考え方を変えることなんだ」という、いかにも革命家らしい一言が、日本の修行の価値観としっくり行っているような感じがします。

https://www.youtube.com/watch?v=hnvZMiiOtQ4

経済や科学や技術的な進歩などをどう捉えるか。そこにはあまり踏み込んでいない様な気がしますが、しかし人間の生き方としては受け入れられますね。
新生サヨクの新しい戦略という匂いもしますが・・・

武漢肺炎の新型コロナウイルスのニュースばっかりの中で、ちょっと楽しい映画の話でした。

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