アメリカの敵は中共

長い事アメリカの敵はロシアでした。ソビエト連邦の時代からロシアになってもアメリカの敵は変わらないという感じがしていました。

しかし、ドルに対抗し始めた中共の経済がアメリカの意識を変えさせたようです。
習主席は人民元取引きの可能な範囲を着々と伸ばし始めています。技術的にも高度なものが増え、そして原子力発電に力を入れ始めました。アメリカが主導する石油エネルギーに対する挑戦なのです。

シルクロードに原発を並べ電気自動車を走らせるという構想で、しかもその原発はトリウム原発で安全であり、高レベル放射能廃棄物が微量しか出ない技術を使うなどと、アメリカが開発し凍結していた技術を利用し始めたのです。トリウムはレア・メタル精製の副産物として現在は廃棄されています。

これが石油エネルギーを中心に置いたドル支配体制への挑戦であることは誰にでも解ります。
石油代金をドルではなくユーロやその他の通貨で決済しようとしたサダム・フセイン大統領やカダフィ大佐は殺されました。
つまり次は習主席の番なのです。

中共とべったりだったヒラリー・クリントン候補を押さえてドナルド・トランプ氏が大統領になると、さっそく中共対策が始まりました。
北朝鮮問題に中共を参加させて、北の核開発を止めさせるというのがシナリオの第一幕です。これが成功するとはおそらく誰も思っていなかったでしょう。もちろんトランプ大統領も・・・

何もしない中共を尻目に、北朝鮮は2017年9月に水爆と称する核実験を行い、さらに同月約1年半にわたって拘束していた米国人学生のオットー・ワームビアさんを意識不明の状態で帰国させ、死亡させたのです。
これでアメリカの民意は「北朝鮮が最大の敵」となります。
さらに9月から11月にかけてICBMとするミサイルを打ち上げ、アメリカを挑発しながらアメリカの反応を見守っていました。

安倍首相は「対話と圧力」の「圧力」強化を訴え、日米同盟の元、北朝鮮への経済封鎖とも言える圧力を掛けていきます。
ここに中共も参加はしますが、ほとんど協力はしていないはずです。それを見て取ってトランプ大統領は中共非難へ、その立場を変えていくわけです。これが第二幕ではないでしょうか。

習主席は最初からアメリカとの対決になることは承知で、軍備増強に余念がありませんでした。そして自分を終身主席の立場に持ち上げ、さらにアメリカとの対決姿勢を強めます。

北朝鮮は韓国の平昌で行われた冬季五輪を使い、アメリカへのアプローチに努めます。なにしろ「敵は中共」というアメリカと、北朝鮮が同じ立場であることをトランプ大統領へ伝えたいようですね。
トランプ大統領もそのことは承知していて、ゆえに米朝会談を開催するという所までたどり着いたようです。

問題は日本の拉致事件と、アメリカ人拉致被害者の救出、そして核開発の廃棄が出来るかどうかです。なんどもアメリカの歴代政権を騙し続けてきた北朝鮮を、どのような交渉で押さえ込むのか、それは判りませんが少なくともトランプ大統領の好む環境が整ってきたようにも見えます。

中共を入れない核査察団の受け入れを条件とし、この査察団のなかに拉致被害者調査団も含むなどとする交渉が可能かと思いますが、トランプ大統領の胸の内はどうでしょうか。
核査察団ということで、アメリカ軍の事実上の駐留としてしまうのは?・・・

北朝鮮がこの交渉によって時間稼ぎをしているという憶測は正しいかも知れません。これに対しては査察団を受け入れさせるしかないように思います。
これが第3幕のシナリオです。
このシナリオが失敗すれば、米朝の戦争が回避不能になるかも知れません。ですから経済圧力をさらに強化して、北朝鮮が応じるようにすることが必須でしょう。

このシナリオの次、第4幕は米中対決です。英国はすでに急拡大する中共の軍事力に警鐘を鳴らし始めています。
「近代化は多くのアナリストの予想を超える速度で進行している。(かつては)旧ソ連やロシアの技術をコピーして兵器を製造していたが、ふんだんな国防費をかけて中共独自の研究開発や製造を急速に進めている。中共の進歩と技術力は驚異的。米国の『対等な競合国』か、それに非常に近いところまで達した。(中共は)米国が防衛力を増大させる唯一の要因となり、世界の安全保障環境が激変する恐れもあり、中共の軍事力が西側と同一レベルに達したというより、世界的規模で防衛の革新者になっている」ということを様々な研究機関が発表しました。

アメリカ軍は沖縄本島の東南東の太平洋上で、南シナ海の中共軍を意識した演習を始めました。日本の自衛隊も参加させ、空母カールビンソンからのFA18戦闘攻撃機の発艦と着艦の訓練です。当然中共はこの訓練を監視しているでしょうが、間もなく就航するであろう中共の国産空母の発着艦訓練でいかに多くのパイロットの犠牲者が出るかを判らせようとしているようにも思います。

さらにアメリカは、「台湾旅行法」を成立させました。中共が一番ピリピリしている部分に政策的攻撃を仕掛けたのです。もちろん中共の反発を見越したものでしょう。

「米朝戦争は回避できるだろう。しかし米中戦争の回避は不可能だ」という誰ぞや(ルトワックだったかな?)の予言が気になりますね。

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