GSOMIA破棄回避

日米韓の連携を象徴する取り決めのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を通告していた韓国・文在寅政権は、「協定を終了するとした通告を停止する方針」を伝えてきました。

つまり、日本の輸出管理厳格化に対抗する手段として文政権が取った「GSOMIA破棄通告」を撤回したわけです。(無期限延期?)

それでも韓国は日本に対しては「貿易優遇策」をめぐって交渉を継続すると述べています。
こちらにはアメリカの圧力は掛からないでしょうが、日本が要求している「フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素」の使途不明量に関する情報開示がなされるまでは、韓国をホワイト国に戻すことは出来ないでしょう。
これは交渉の問題と言うより管理体制の問題だと思うのですけどね。

フッ化水素は半導体だけでなく核兵器開発にも使用されます。そこから文政権の体質(チュチェ思想を信奉していること)から、北朝鮮への密輸がなされたのではないか、あるいは中共の半導体メーカーに密輸したのではないか・・と言う疑いが出てきているのです。

核兵器用には日本製の高純度フッ化水素でなくても、中共製のものでも十分に使えるようですが、半導体となれば高純度フッ化水素でなければ歩留まりが悪くコスト高になってしまいます。そこで、中共への密輸の疑いの方が高いと思われます。

半導体用の部品供給は、ワッセナーアレンジメントからECRAとFIRRMAによって、同盟国である日本にも中共への輸出規制が掛かっています。
高純度フッ化水素はその規制に抵触しますから、韓国からの横流しがあった場合、許すことは出来ません。

その点を日本は韓国側に追及したわけですが、韓国側からは何に使用されたのか明快な資料が出されませんでした。そしてその代わりにGSOMIA破棄を通告してきたわけです。
これによってアメリカは文政権に対して相当の圧力をかけたようです。

ここで文政権はかなり卑怯な駆け引きをしています。
対中外交で先週、韓国と中共との間に「防衛協定」を結んだことです。つまり韓国はアメリカの言う事を聞かずにアメリカと中共を天秤にかけ始めたという点です。
これがあって、アメリカが望むGSOMIAの継続を呑んだ文政権であることは確かなようです。

アメリカと中共を天秤にかけるアジアの国々が今は結構多く、もしかしたら日本もその中に含まれているのではないかと思うような政治の動きも見受けられます。
日本の場合は経団連などがその中心に居るようですが、これでは「自由と繁栄の弧」もあったものではありません。

この背景には民主党・オバマ反米政権の悪影響が十分に考えられますが、ここまでアメリカの影響力が低下したのかと驚くばかりです。
アメリカと中共を天秤にかけている国家は、ある意味においてアメリカと中共のどちらの恫喝になびくかということ・・とも言えると思います。

つまりアメリカの「自由と民主主義」という圧力と、中共の「中華思想の軍門に下れ」という圧力の双方のどちらを選ぶか、という問題です。

最近、「自由と民主主義」を疑う論調も出始めています。しかしまだ「中華思想(究極の差別主義)」を擁護する論調は出てきておりません。
共産主義(グローバリズム)と中華思想は比較的馴染みやすい考え方です。自由と民主主義が「LGBT」などを擁護する動きを生んでいることから、「LGBT」を抹殺できる可能性を持つ中華思想が浮上しているのかも知れませんね。

アメリカは、この天秤に気付き始めています。対中経済戦争が激化すれば、さらにこのような両方からの恫喝がアジア各国に掛かり始めるでしょう。
インフラ基盤を持つ国家なら自由と民主主義で戦えますが、インフラもろくにないアジア各国は、中共の経済協力が欲しいはずです。

ここを日本がどうしていくか、そこが問題になる点ですが、財務省がプライマリバランスとか言いながら日本の整備されていたインフラを壊しています。
その背後に中共の手が無ければいいのですけど。

韓国の経済的衰退も、「助けられるのは中共しかいないよ」という状況を作り出すための文政権の企みなのかも知れません。
だとすれば、高純度フッ化水素の行き先が中共であってもおかしくはないでしょう。

そしてここまで中共に肩を入れる分政権に怒っている北朝鮮の金正恩委員長の姿も理解できるように思います。
北朝鮮は、トランプ大統領によってやっと米中を天秤に掛けられるようになったばかりですから。

GSOMIAの継続受け入れと中共との「防衛協定」が、文政権の命取りになるかも知れません。
トランプ大統領は、「アメリカは、国防と安全保障の問題は日韓関係の他の分野と区別されるべきだと強く信じる」と訴え、GSOMIAの失効は「北東アジアの安全保障環境を脅かしている北朝鮮と中共を利するだけだ」と述べていますが、文政権の取った「中共との防衛協定」が今後の米韓関係をどうしていくか、アメリカの出方が注目ですね。

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