ずいぶん前の話になりますが、ソビエト連邦に高性能なNC工作機械を輸出した東芝がアメリカから制裁処分を受けたことがありました。
原子力潜水艦のスクリュー音がしなくなる加工が出来たら、安全保障上大問題になると言うのがその時の制裁の理由でした。
故)田中角栄首相によって日中国交回復が行われてから、怒涛のごとく中共に最新技術を提供してきた日本の企業です。
最初はアメリカも「中共は豊かになれば自由化する」などという甘い考えであったことも事実ですが、それにしても日本の経済最優先で安全保障感覚の無視は酷いものでした。
自由化しそうに見せかけた中共の戦略は、技術を吸収したとたんにもとの共産主義へと戻って行くわけです。経済力と軍事力を付けて、今回の習演説はまさにナチス化そのものでしたね。
安い人件費で世界の工場化した中共は、すでにレベルの高い民生品を作り、安く世界に供給し始め、それまで優位にあった日本やアメリカ、そして欧州の企業を市場で圧迫し始めました。
中共のこのような経済侵略、そして数と金で迫る民主主義攻撃に対し、オーストラリアのチャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授が警鐘を鳴らし、「日本国民も脅威認識を持て」と述べたそうです。
オーストラリアはアングロサクソンの国家でありながら、中共の侵略を許している国家でもあります。
石炭などの資源を中共が多く買ってくれることから、中共を優遇し、そして政治的にも親中意識でやってきました。しかし、そのあまりにも傍若無人な華人のふるまいが目に付きだし、ついにこの教授が「サイレント・インベージョン(静かなる侵略)」という著述を出版されたのです。
この本は、最初はオーストラリアで契約した大手出版社から出版を拒否されたそうです。出版社が中共からのサイバー攻撃や在豪中華系市民からの訴訟を恐れたためだそうです。
ハミルトン教授はこのことで「言論の自由への抑圧に多くのオーストラリア国民が衝撃を受けた」と述べておられます。
それでもなんとか出版がなされたこの本には、「中共は民主主義を利用して民主主義を破壊する」と指摘されているそうです。
オーストラリアに移住してきた中華系の富豪が与野党の政治家や大学に多額の資金を提供している実態や、このようにされた政治家や大学の研究が、南シナ海問題や自由貿易協定(FTA)などで、中共が望む方向に政策を誘導しようとした実態を暴いているそうです。
そして彼らが、中共国内では国政助言機関や全国政治協商会議(政協)の代表を務めていたという事実から、中国共産党との関係にも疑いの眼を向けているとのこと。
そしてオーストラリアに移住した華人の企業家は、中共国内に残した親族が報復に遭うことを恐れ、「共産党の代理として行動する」と指摘しているとか。
この華人の行動と、日本から1970年~80年にオーストラリアにやってきた日本企業の行動とは全く違うことも指摘していると言うことです。
つまり日本がオーストラリアへの投資を増やした時は「誰も日本政府のために行動しているとは思わなかった。」そうです。事実、日本の企業は日本政府の命令で動いていたわけではありませんからね。「しかし中共は違う」とハミルトン教授は指摘しているそうです。
中共の国有企業やその関連企業が、中共政府の言うがまま、オーストラリアの電力や港湾などインフラ企業を買収する試みは「最大の安全保障上の脅威だ」と述べているようです。
そしてこの手法の新規性として、「(既存の)法律に違反しない点が新しい」と述べ、対策として「政府の運営や民主主義の価値を損ねていると言う理由で、違法化すべきだ」と主張しているそうです。
この指摘がなされたからかどうかは判りませんが、ターンブル政権は、外国人・外国企業からの献金禁止や「スパイ活動」の定義拡大の法制化を進めており、ハミルトン教授は「世界各国のモデルになるのではないか」と期待しているそうです。
そして中共が怒りだし経済制裁を発動しても「国家の独立を維持するためには、経済的な痛みを受け入れなければならない」と強調したとか。
そしてこの指摘は日本国民にも向けられているような気がします。
経済的合理性と安全保障の合理性は背反するのが常識ではないでしょうか。経済的合理性のみを追求してきた日本国民は、それで良いと今も思っているようです。
ですから日本は歴史始まって以来の脆弱国家となってしまいました。アメリカ軍の庇護のもとで・・・
その実体は現在の国会中継を見れば一目瞭然です。
さらに、原発の危険性を述べ、それに反対して、再利用可能エネルギーとしての太陽光発電などを言う団体は、太陽電池の生産に使われるレア・メタルの精製時に放射性廃棄物が出てきて、それが無造作に捨てられていることは指摘しません。この例をみても判るように、どこかボケているのです。
いまの日本国民は、ただマスコミだけの煽動で動かされていることを、もっと認識すべきですね。