アメリカでは「北朝鮮を攻撃すべき」という世論が高まっていますが、ピッツバーグ近郊で開いたトランプ大統領の支持者集会では、「世界にとって最高の合意ができるかもしれない」と述べた後に「早々に立ち去るかもしれない」とも述べ、この会談が予測できないものであると強調したようです。
大統領は、「北朝鮮は2017年11月以来ミサイル実験をしておらず、われわれの会合までの間は(実験を)しないと約束した。彼らがその約束を守ると信じる!」と言う事と「(安倍首相は)北朝鮮との対話にとても熱心だ」ともツイッターに書き込んだそうです。当然「対話と圧力」を進めている安倍政権です。圧力は北朝鮮を対話に持ち込むための手段ですから「北朝鮮側から」対話を求めてきたのは圧力が成功した裏付けでもあります。
ただ「対話のための対話では意味がない」との認識でも大統領とは一致していますから、朝鮮半島からの核の撤廃が可能になるかどうかと、拉致被害者の返還がどのように実施されるかが焦点になるでしょう。
この方向に向かっての話し合いにならないと判断すれば、大統領は「早々に立ち去る」という条件も付けたようです。
さて、それでは5月までは米韓軍事演習をやらないかと言えば、そうでもないようです。
北朝鮮に赴いた徐薫国家情報院長は、朝鮮日報のインタビューで「在韓米軍(の駐留)は、われわれが北朝鮮に譲歩できる問題ではない」と述べ、米韓合同軍事演習の中断や在韓米軍の撤収を北朝鮮が求めたのではないかとする質問に対して、「韓国の安保と経済の根幹である米韓同盟には触れるなということだ」と述べました。
そして金正恩委員長について、「(金委員長は)会談ですらすらと自身の考えを述べ、決断力を示す姿が印象的だった」とし、「南北関係だけでなく国際情勢の背景、歴史についても、よく把握していた」と述べています。
さて、ここまでがマスコミで流れた情報です。ここから米朝会談がどの方向に向かうのかを憶測しなければなりません。
もしかしたらキーワードは「中共」ではないでしょうか。
中共の経済崩壊から4年が経過し、その行き詰まりが習政権の「死ぬまで主席制度」とか「企業内部に共産党組織を作る」などの暴論で見えてきます。
そして今回の米朝会談には中共の影がまったく出てきません。そこからキーワードは「中共」ではないかと思う訳です。(ティラーソン氏の解任とも関係があるかも?)
つまり北朝鮮の核は対中防衛の要で、それを訴え核の撤廃は出来ないと伝えるのかも知れません。そして日本の核武装を北朝鮮が容認したらどうなるでしょうか。それがアメリカ軍の核であろうと日本自身が開発する核であろうと構わないとしたら・・・
核兵器の拡散にも言及しなければなりません。イランとの関係がどうなのか、そしてこちら側は常に北朝鮮を監視状態にしていることも付け加えておく必要があるでしょう。
拉致問題についても、「すでに多くの被害者は死亡しており、遺骨もままならない状態である」ことを大統領に訴えた場合、トランプ大統領はどうするでしょうか。
アメリカ人で、2004年に雲南省で消息をたった留学生のデービッド・スネドン氏は、ある筋からの情報では英語教師をしながら北朝鮮の首都平壌で生活し、現地の女性と結婚して2人の子供がおり「ユン・ボンス」と名乗っているとのことです。(これは2016年8月の情報です)
アメリカ国務省の立場は、「スネドン氏の拉致を示す証拠は見つかっていない」ということだそうです。
拉致された日本人の多くも平城でこのように生きているかも知れませんが、偽名を使い現地に溶け込んでいて、日本人であることがバレないようにしているとしたら、なかなか探すのは難しいかも知れません。もちろん金政権側は誰が被害者か知っているでしょうけど。
拉致被害者の返還は日朝国交回復の最大のポイントです。これを避けては日朝会談も出来ませんから、どのような交渉が必要か、事前に大統領と策を練っておいて欲しいですね。
4月に安倍首相はアメリカを訪問します。
その上で、北朝鮮経済を中共側からアメリカ側に向きを変えさせる算段も重要なテーマになるのではないでしょうか。
米朝会談の場所ですが、警護上の観点から、訪朝は「不可能」というのがアメリカ側の言い分です。韓国は米首都ワシントンを挙げ「最大の敵国の心臓部に果敢に乗り込む度量の大きさを示す」と金委員長を持ち上げますが、なかなかそうはいかないでしょう。(一番良いようにも思いますが)
韓国での会談と言う話も出ているようですが、両国とも飲めない話ではないでしょうか。韓国には米軍が居ますし、金委員長へのテロの危険性もありますから。
金委員長が留学していたスイスか、スウェーデンとの憶測も飛んでおります。まあどこで行われても問題は内容なんですけど、騙されないようにするのは大変ですからね、北朝鮮相手では・・・